平家の落人村5、兵庫県大味村

ここ兵庫県新温泉町の山あいにある大味(おおみ)村は、平通盛の妻、小宰相局(こざいしょうのつぼね)が隠れ潜んだという伝説があります。
小宰相局は、以前御崎部落のところで紹介しましたが、壇ノ浦で敗れた小宰相局を含む平家の落人一行は、平教盛を大将とし、最初は兵庫県香美町にある御崎へ舟で漂着します。さらにそこから小宰相局はこの地へ隠れ潜んだらしいのです。夫の通盛は平教盛の息子ですね。
秋の晴れ渡った澄んだ空気のなか、なにやら不可思議な白い花が道中の道の至る所に咲き乱れていました。なんの花なのか、知る由もありません。非常に不思議な感じがしました。


大味村は国道178号線から道を折れ、谷間を久斗山方面へと向かいます。さらに途中道が左に分かれ、狭い谷間の曲がりくねった道をしばらく行くと山に囲まれた開けた空間が現れます。そこに周囲の村から隔離された大味村があります。
これは、道が左に分かれてから大味村へ向かう道中の谷間の道です。伝説が事実ならば、小宰相局はどんな思いでここを通ったのでしょうか…。  そして八百数十年前のこの場所はどんな風景だったのでしょうか…。 渓流沿いの道なき道を、やぶをかき分けながら奥へ奥へと逃れて行ったのでしょうか…。


平家物語では、小宰相局は一の谷の戦いで戦死した夫通盛のあとを追って、屋島にむかう途中舟から入水して亡くなったと語られています。どうしてこのような伝説が生まれるのでしょうか…。
小宰相局は上西門院(じょうさいもんいん)の女房で、宮中一の美人だったそうです。上西門院は鳥羽天皇の第二皇女で、後白河院の准母ですね。女房とは宮中をはじめ、院や女院、貴族などに仕えた女性です。
この花は、平家の憂いを語っているのか…。それとも何かを知っているのか…。


この大味村は、5軒ほどしか家屋がありません。ほぼこの一角にかたまっています。周囲から隔離されたこの地は、隠れ潜むには都合のいいところのようです。


小宰相局はほんとうにこの地へ逃れて来たのでしょうか…。 不思議な白い花は何も語ってくれませんが、陽の光りに照らされて鮮やかに輝いていました。