城崎温泉の歴史 3

歴史の古い温泉地には、必ずといっていいほど発見伝説がまといついています。

これを発見者別に分類すると、つぎのようになります。



1. 神仏            有馬 道後 玉造
2. 修験者・高僧 
  イ、役小角          竜神 五色 伊豆山
  ロ、行基           草津 山中 山代
  ハ、空海           修善寺 法師 吾妻
  ニ、その他の高僧     湯村 熱海 粟津 
3. 貴人(国造 郡司 将軍など)
                  湯の峯 四万
4. 動物            湯田 城崎(鴻の湯)
 


発見者の顔ぶれは多彩です。
なかでも群をぬいて多いのは、小角・行基空海(弘法大師)に代表される“2”のタイプです。
いずれも、奈良・平安初期の宗教家ですが、一つ一つの伝説の真偽は別として、
必ずしも荒唐無稽とはいえない節もあります。



古代では修験者・僧侶は単なる聖職者であるだけでなく、広範囲の最新の知識の持主で、
地相地形を見て、温泉を発見する業にもっともすぐれ、その上修行や布教のため、
諸国の深山幽谷にまで足を伸ばしたから温泉発見の機会に恵まれていたわけです。

また温泉湧出はひとえに「神の恵み」との自然の恵みに対する人々の素朴な感謝の気持ちが“1”を生み、
そして動物たちの本能的察知力に着目するとともに、霊験あらたかな湯の効能にいっそうの信憑性を
与えたいがために“4”のタイプが生まれたものと思われます。